今年は熊の被害が連日のようにTVやネットで報道されています。私たち夫婦は野鳥観察や撮影が趣味なので、どうしても山や森、湖、海など人里離れた場所に行くことが多いです。時間帯も熊が活動する明け方や夕暮れに歩き回ることが多く、相当熊の行動パターンと似ていて危機感を覚えています。
そこで、先日北海道でお世話になったネイチャーガイドの達人さんに、熊に遭わないための方法、また不運にも遭ってしまった場合の対処法を教えていただきました。
山菜採り、きのこ狩りの人がよく襲われるのはなぜ?
熊は例外もありますが、基本的には人間が怖いので、自分から木の陰や茂みに隠れます。ガイドさん曰く、地面に置いてある丸太の後ろに伏せて隠れているのを見たこともあるそうです。熊が隠れているうちにさっさとその場を通過すればいいのですが、山菜採りやきのこ狩りの人はあちこち不規則な動きをし、熊が隠れていてもなかなか立ち去らなかったり、ばったり出くわすケースもあります。野鳥撮影の人も鳥にばかり気を取られていると危険ですね。
野鳥撮影のフィールドに入る前にやるべきこと
- 出かける前にネットなどで行き先の熊の目撃情報を調べておく。
- 近くにネイチャーセンターや観光協会があるなら立ち寄る。熊の出没情報が掲示されている場合が多く、スタッフさんが常駐していれば詳しく教えてもらえるはず。
- 数日前に出没しているならそこに行くのはやめた方がいい。
- 人気のない場所に一人で入るのは避ける。必ず複数で出かけるようにする。
野鳥フィールドでの熊鈴問題
気になる野鳥フィールドで熊鈴はどうなのか問題。熊鈴はSNSでもかなり炎上したようですが、実際に野鳥撮影でたくさんの人が集まっているような場所で、皆さん息をころして野鳥を撮っている場面に鈴をリンリン鳴らしながら登場したらやはり迷惑ですよね。その場合は鳴らないような工夫が必要ではないでしょうか。
でも他に人がいないようなフィールドだったら?これは意見が分かれるところです。
そもそも熊に鈴は効果があるのか無いのか。
お話をお聞きしたガイドさんは、携行はするけれど鳴らすのは渓流などで周りの音が聞こえにくい場所だけだそうです。熊鈴の音はかなり大きいので、熊の気配を感じにくい。鳴らしている安心感で注意力が散漫になるなど、必ず周りの音には注意を払うのが必要だそうです。
川のせせらぎの音を聞きながら鳥のさえずりを楽しむ。そんなことが安心してできなくなる日が来るとは。。。
トレッキングベル(熊鈴)
カラビナと消音機能が付いていて便利な熊鈴です。
モンベルショップ 価格 2,200円
ベアホーン こちらもモンベルショップで見つけましたがAmazonなどでも販売しています。
SABRE ベアホーン
遠くに熊の姿を見つけた時、大音量で発砲して追い払います。115デシベルの大音量で804m先まで音が届きます。トップボタンを押している間だけ音が出ます。コンパクトな手のひらサイズです。
- 価格 3080円
- 重量80g
- サイズ高さ12.1cm×幅6.4cm×奥行3.8cm
- 発報が届く距離804m
- 使用可能回数1/4秒間の発報で約60回 1/2秒間の発報で約25回

間違いなく鳥も逃げますけどね。
熊撃退スプレー
熊撃退スプレーはとうがらしの主成分カプサイシンが入っています。粘膜に付着すると強烈な痛みを感じるので、近距離で遭遇し、襲い掛かろうとする熊をひるませるためのスプレーです。虫除けスプレーなどと違い、熊を寄せ付けなくするスプレーではないので、テントなどに吹きかけても効果がありません。
私たちは日ごろ噴射距離5mの小さいタイプを持ち歩いていましたが、飛行機では運べないし、ヒグマ用に大きいタイプが欲しかったので北海道のモンベルショップで購入しました。帰りは宅配便で自宅に送り返しました。
- 噴射距離9m 46mL/sの噴射量
- 内容量243mL
- 使用期限 2025/11/20
- 価格 10,780円
レンタルも可能 観光で1〜2日だけ使いたい場合、ホテルやネイチャーセンターなどで1日1,500円〜2,000円くらいで借りることができます。
- 熊が射程距離に近づいたらプラスチックのセーフティークリップを外す。
- 熊の顔と目を狙って噴射レバーを押す。
- 3秒間スプレーして熊と自分の間にバリアを作り、一度停止して風向きなどを判断し、必要であれば狙いを調整する。
- 使用後はセーフティークリップをカチッと音がするまで押し込み、外れないように固定する。
目の前に熊がいて、実際に3秒間スプレーしながら風向きを考えるのは至難の技のように思えますが、ガイドさんは皆、これを持っていないとフィールドには入らないとおっしゃいます。
- 人に向けて噴射しない オイルが混ざっているので粘膜に付着すると洗っても落ちず激痛を感じる。また風下から噴射すると自分や同行者にかかる恐れもあり。
- とっさに使える準備 すぐに取り出せるようにホルダーなどに入れて腰にぶら下げるなどしておく。リュックから取り出していては間に合わない。
- 使用期限がある ネットで購入する場合、使用期限が短いものが届く場合があるので注意。実際にアウトドアショップなどで購入した方が安心。
- 飛行機では運べない スプレー缶は乗せてもらえません。
- 保管・処分に注意 直射日光の当たる場所に保管しない。必ず使い切って捨てること。高温で爆発の危険があるため、直射日光の当たる所や火気の近くに置かない。

真夏の車内に放置も危険ですね

スプレー缶は飛行機の手荷物にも預けられないのでご注意を!
匂いのあるものを身に着けない
熊の臭覚は犬の何倍もあり、4キロ先からでも動物の死体の臭いが分かるほどだそうです。フィールドに入る際、虫除けスプレー、日焼け止めなども香料がないものを付けるようにします。特に甘い香りはNGです。香水もやめましょう。食べ物もは密閉されたものだけを持っていくように気をつけましょう。
フィールドでの注意点
- 熊の痕跡に気を配る。木に熊の引っかいた痕跡があるか。熊の糞を見つけてまだ新しいものなら引き返しましょう。
- フィールドで早歩きはしない。注意散漫になりばったり出会う可能性があります。
- 藪や茂みを通る時、見通しの悪い場所ではまず手を叩く。熊はパーンという発砲音が苦手です。人が少ないときは時々手を叩きながら歩きます。
- 熊が遠くにいるのを見かけた場合は静かに立ち去るか、ベアホーンなど大音量で脅かして逃げるのを待つ。
- 50m以内で熊がこちらに気づいている場合は、目を見ながら後ろ向きに下がります。決して走ってはいけません。
- 20m以内でこちらに向かってきそうな気配がある時は、熊撃退スプレーを取り出しストッパーを外します。
- 10m以内(熊撃退スプレーの飛距離による)で熊が威嚇してきた時は顔や鼻を目掛けてスプレーを噴射します。

8メートルはおおよそ市バス1台分くらいの距離かな?
、
ネイチャーガイドさんの装備
熊撃退スプレーを使うようなことなく楽しい野鳥撮影ができるように、事前に可能な限り熊に出会わない対策をしたいと思います。
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