2021年の人口増加率は道内一位の東川町。そこに移住した知人のガイドで行ったおすすめスポットをご紹介します。
東川町へのアクセス
飛行機
旭川空港から東川町中心部までは車で約10 分。羽田空港から飛行機で約1時間半のフライト、その後車で移動すれば、旭岳・天人峡方面まで約3時間で到着することも可能です。
名古屋からの直行便、大阪方面の期間運航の直行便もあります。
新千歳空港からは、高速道路を利用すれば約3時間30分で東川町中心部まで到着します。
バス
旭川電気軌道 60 番 62 番 66 番( いで湯号) 67番 76 番 停留所「東川道草館前」( 路線によって経路が異なります)
大人670円 所要時間約30分
蛇口をひねるとどこでも大雪山の湧き水
北海道のほぼ中央、大雪山国立公園の麓にある人口約8,000 人の東川町は、全国でも珍しい上水道のない町です。大雪山の大自然が蓄えた雪解け水が、長い年月をかけて地中深くに染み込んでゆっくりと東川町へ運ばれてくるのだそうです。
上水道がないと知人から聞いて、最初は「えっ!水道がないの?庭に井戸でもあるの?」と思ったのですが、そういうことではなく、ちゃんと水道があるのですが、大雪山の湧き水が蛇口から出てくるという、信じられないほど羨ましい環境でした。
森の中に源泉があり、町の人々が水を汲みにきていました。
東川町で暮らす人たちはこの水を生活水として利用していて、大雪山の湧水で育つお米や野菜、また豆腐や味噌などの加工品、コーヒーや水割りにも最高です。朝起きて、蛇口から直接汲んで飲む水の美味しいことに驚きました。移住者の多い理由がこれだけでも納得です。
東川の朝は奥泉から〜中国茶とおかゆと点心のお店
- 住所・北海道上川郡東川町東4号北2番
- 定休日・火曜日、水曜日
- 営業時間・7時~11時(10時30分L.O) 13時~16時(15時30分L.O)
- TEL 0166-56-0280
中国茶とお粥と点心のお店奥泉のオーナーご夫妻は、以前札幌市円山にお店を構えていたそうです。しかし水に左右される繊細な中国茶、武夷岩茶に最適な水を探し求めて、北海道各地を見て回り、持参した茶葉を現地の水で入れて飲み比べをし、その結果東川町の水が最適と、2020年に東川町の市街地の外れに移住を決断されました。
奥泉で扱っているお茶は、中国の世界遺産、福建省の武夷山でつくられる武夷岩茶で、日本でいう人間国宝に当たる茶師の劉宝順さんが手がけている、日本ではほとんど出回らない希少な烏龍茶だそうです。
また、こちらで供される中国粥は、東川町産のおぼろづきというお米です。育った土地の水で米を炊くと、味わいが全然違うのだそうです。
東川町の中心部から車で15分くらい走ると、蔦の絡まるなんとも味のある小屋が見えてきます。木立に囲まれた小道の奥の古い木造のお店が奥泉です。目立つ看板は出ていないのですが、次から次へとお客さんが入ってこられて、窓から広がる広大な大雪山を眺めながら、のんびりゆったりとお茶を飲んだりお粥を食べたり。時間がゆっくり流れます。お店にかかっている鳩時計がぽっぽーと時を告げる。全てが心地良く、時間がゆっくり流れる、そんなお店でした。
蔦の絡まる小屋が目印
森と畑の中の一軒家
趣のある暖炉
季節のおかゆと点心のセット
お粥にはカボチャやカボチャの種、腐乳、ピータン、ザーサイ、そして水餃子のセットで980円でした。中国茶のセットは4人でシェアしました。
手打ちそばと豚丼のお店 橅(ぶな)
- 住所 東川町東町1−6−1
- TEL 0166-82-2116
- 営業時間 昼(たぶん)11:00〜14:00 夜(蕎麦があれば)17:30~21:00
- 定休日 不定休
ランチにおすすめなのは道の駅ひがしかわ・道草館より徒歩1分の小さなお店、橅さん。
東川の素晴らしさの一つに、駐車場がどこでも無料で広々していて停めやすいことがあります。お店の方に「車どこに停めたらいいですか?」と伺ったら、「向かいに大きな駐車場があるからそこに停めてきてください」とのことで、道路を挟んだ向かいにある複合交流施設せんとぴゅあの広大な駐車場に停めました。c

東川にいる間、一度も駐車料金を払ったことがありません。
こちらのお蕎麦は東川周辺で採れたそばの実を石臼挽き、毎朝その日の分だけ手打ちする二八そばです。ドアを開けるとカウンターがあり、奥には落ち着いた雰囲気の小上がりがあります。ブナの木でできた重厚なテーブルとベンチが10席ほど。ランチ時間は混みそうなので、早めに行かれた方がいいかもしれません。
注文したのは、私は揚げ出し豆腐入りのキノコのあんかけ蕎麦、夫はブタ丼とミニ蕎麦のセット。豚に香り高い山椒をたっぷりかけるのがおすすめです。やはり水がいいのでお蕎麦も美味しいです。風が強くてかなり寒い日だったので、体がポカポカ温まりました。
※お子様づれの入店はご遠慮くださいと書いてありました。
北のグルメ発信基地、居酒屋りしり
さてさて、お楽しみの晩御飯は北海道ミシュランに紹介されたお店で、日本各地からファンが訪れるという名店、居酒屋りしりです。
- 住所 北海道上川郡東川町東町1丁目6番14号
- TEL 0166-82-4088
- 営業時間 PM5:00~PM10:00
- 日曜日休み(不定休あり)
場所は道の駅ひがしかわから徒歩1分。車は道の駅に停めさせていただきました。
こちらのお店は創業40年。魚屋さんだったお父様がこの地で居酒屋を始められて、現在は札幌から戻ってきた息子さんがお母様と二人で経営されているそうです。
6時半に伺いましたが、予約をしていなければとても入れそうもない賑わいぶりでした。実は、東川町のある上川盆地は、北海道の中心に位置した交通の要衝で、稚内や網走などのお魚がここを通って運ばれるため、本当に鮮度の良いものが手に入るのだそうです。
魚の種類や鮮度の良さはもちろんのこと、ザンギや東川の野菜など、北海道ならではの美味しいものを堪能しました。地のお酒やワインも豊富に取り揃えています。
このお店に来たいために、わざわざ東川に泊まる方も多いそうですよ。
THEセンス!北の住まい設計社のカフェ&ベーカリー
- 住所 071-1437 北海道東川町東7号北7線
- 電話 0166-82-3775
- TEL.0166-82-4556
水曜定休(ベーカリーのみ火曜・水曜定休)
■ベーカリー・食品館
OPEN 10:00〜18:00
■カフェ
OPEN 11:00〜17:00
食事-14:00 L.O / デザート・ドリンク-16:30 L.O
写真の町としても有名な東川町は、日本各地からの移住者も多く、いたるところにギャラリーやカフェがあります。そんなおしゃれな町、東川町の中でも特におすすめなのが北の住まい設計社です。東川町の山奥にあり、家具や雑貨の販売、パン屋さんやカフェが併設されています。
クラフト街道の一番奥に北の住まい設計社はあります。
古い校舎を改造した建物の奥、白樺の木立を抜けると奥に家具のショールームや雑貨、ステーショナリー、カフェ、パン屋さんがあります。外からは全く分からないので、まるで森の隠れ家のようです。


お店の暖炉の焚き付けが白樺の樹皮、憧れます!
庭には四季折々の花がセンスよく植えられています。
このお店の雰囲気がよく似合う、シックで素敵な女性が親切に色々と案内してくださいました。

窓から見えるお庭が素晴らしすぎます
ここに一歩入った時からもはや語彙力が崩壊し、「ステキ〜」としか言えないのですが、まさにセンスの塊。北欧の食器、リネン類や革製品、どれを取っても欲しいものばかりです。
奥にあるcafeでランチをいただきました。この日は雨で空いていましたが、普段は混むので予約を入れることをお勧めします。
森の中にある広々としたカフェはもちろん住まいの設計社さんのデザインで、木の温もりを感じるお店でした。ご覧の通り照明も美しいのです。
本日のパスタセット(スープ、パン付き)を二人でシェアしました。
バターナッツかぼちゃのスープ
有機ひよこまめと玉ねぎ、にんじんを煮込んだトマトスープ
ホタテと有機野菜のジェノバペースト風味
ジャガイモのニョッキオーブン焼き(スープ、パン付き)
雨音を聞きながらゆったりといただくランチ、雨もまた楽しい東川時間でした。こちらで販売しているパンや紅茶なども、どれもこれもセンスのいいものばかりで、色々買い込んでしまいました。都内にも店鋪があり、ネット通販もしているようですが、このロケーションは唯一無二です。
音楽ファンには夢のような音楽スタジオ
今回東川で一番驚いたのが小西音楽堂です。東川町の音楽愛好家 故小西健二さんが東川町に寄贈された小さな音楽ホールです。
パンフレットには「音楽をする方の練習、宿泊、コンサート他、プロアマ問わず幅広い音楽利用の出来る音楽を愛する皆さまの音楽の家」と書いてあります。
- 予約お問合せ 0166-85-7274
- konishikenjimusichall@gmail.com
私たちは友人に勧められてここに一泊することになりました。二人でたった1万円で豪華な一戸建てのお家に泊まれて、ベーゼンドルファーとチェンバロが弾き放題なんて、うれしすぎて気絶しそうです。
小屋の前に小西健二音楽堂の看板
こちらのお家です
中に入ると吹き抜けのホールがあり、そこには世界三大ピアノと呼ばれるベーゼンドルファーのグランドピアノとチェンバロが置いてありました。小さなコンサートができるサイズのホールです。
小さなキッチンとトイレとお風呂、2階には和室が2部屋あり、10人は泊まれる広さで、音楽合宿をするのにも最適です。
なんといってもこのピアノの素晴らしい音色が、ホールの造りの良さと相まってまるで天国のようです。下手な私が弾いでも、このピアノにかかると魔法のようにインスピレーションが沸いてきます。朝8時から夜10時まで音を出していいそうですので、ずっとピアノを弾かせてもらいました。
また、置いてある椅子がそれぞれ違うデザインで美しいのです。こんな形でミニコンサートもされているようです。
インテリア、写真、音楽、食、どれをとっても一流の東川町には驚くばかりです。
移住者に聞く東川町のデメリット
さて、夢のようなスローライフの東川生活ですが、実際に移住して1年の移住者に、東川の生活のデメリットをお伺いしてみました。
- 冬の寒さ:北海道のど真ん中の上川盆地に位置する東川は、冬はマイナス20〜30度になるそうです。雪も70〜80cmは積もるそうで、寒さと雪に慣れていない者には想像もつきません。しかし家は高気密、高断熱なお家が多いので暖かく、セントラルヒーティングがあるお家なら、家中どこでもポカポカだそうです。外に出ないで過ごす楽しみ方を探すのが重要そうですね。
- 光熱費が高い:当然光熱費は高くなります。セントラルヒーティングのお家で家族4人だと、ガス代だけでも月に5万円くらいはかかるようです。
- 宅配便が遅い:寒くて外に出なくても買い物はネットでするから〜と思っても、本州のようには配達されないようです。配送費は割高なケースもあり、再配達となったらなかなか手元に届かないことも多いようです。今日頼んで明日配送というわけにはいきません。
- 本屋さんがない:本屋さんは一軒もありません。雪の間は室内で読書しましょうと思ってAmazonでポチったとしても、天候に左右されてなかなか届かないこともあるようです。
- 電車がない:東川町には電車は走っていません。車で出かけるしかないのですが、真冬のホワイトアウトやアイスバーンなど、運転にも注意や技術が必要です。
- スーパーがイマイチ:居酒屋りしりさんのように、外食ではとびきりの魚介が味わえる反面、街のスーパーは魚介類がイマイチ充実していないようです。私もあちこちのスーパーを見て回りましたが、もう少し魚売り場が充実していたら、と感じました。でも車で15分で旭川に出られるので、お買い物は旭川でする方も多いかもしれませんね。

夢のような東川ライフ、思わず移住を夢見ますが、冬のことを考えると、まずは二拠点生活の方がいいかな〜と感じました。
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